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「何でもやらされた」は「何でもやらせてもらった」だった: 全ての経験は、未来のキャリアにつながる「点」である

やりたい仕事があるけれど、今のスキルでは正社員として働くのは難しい。そこで彼女が選んだのは、派遣社員として経験を積みながらスキルアップするというものだった。

役に立つなどとは思わずただ楽しいからやっていたこと、逆になぜ自分がこのようなことをやらされるのか分からず、疑問を感じながらやっていたことが、後の仕事、後の自分につながっていた――このような経験を持つ人も多いのではないだろうか。

現在、リクルートスタッフィングからの派遣社員として、大手インターネット広告会社のWebディレクター業務に従事する高橋亜希子さん(41歳)もその一人だ。正社員、契約社員、そして派遣社員とさまざまな形態でキャリアを築いてきた高橋さんは、過去の経験が今の仕事に生きていると感じることが少なくないという。

そして、今派遣社員として大手企業の中で働きながら得ているスキルや経験が、次のステップに生きてくる――つまり、今の点がどこかにつながると信じ、日々の仕事に取り組んでいる。

唐突に打ち切られた契約

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高橋さんが大学卒業後に就職したのは、設立間もないイベント/音楽サービス会社だった。「もともと舞台や音楽が好きだった」ことから選んだ職場だったが、いかんせん立ち上がったばかりの会社で、組織もまだ固まっていない状態。内勤の営業から小冊子の編集まで、中には「何で私が?」と思うものも含め、さまざまな仕事を担当したという。

そんな状態を楽しみながらも、「このままでいいのだろうか」という迷いと次のキャリアをどうするのかに悩んでいたときに舞い込んできたのが、取り引きのあった大手放送会社からの「イベントに関連するWebコンテンツの編集をしてみない?」という誘いだった。

2004年、高橋さんは契約社員の形でその放送会社に転職した。立場こそ契約社員だったものの、Web担当として舞台の稽古場やイベントの現場を取材し、インタビューをまとめ、ブログを更新していくといった仕事を任され、充実した日々を送っていたという。

とはいえ、一抹の不安がないわけではなかった。不安は、Webの担当ではあったが、Web制作のスキルを駆使したり学んだりする機会があまりなかったことや、そして雇用形態についてであった。「契約社員という立場に不安がなかったかというと、うそになります。このまま勤めていても正社員にはなれないことは分かっていましたが、好きなジャンルにどっぷり漬かれる楽しい職場だったのでそのままずるずると勤め続けていました」

しかし、そんな日々は突然終わりを迎えた。全社の事業見直しの一環としてイベント関連費が圧縮されることになり、Web編集部は解散を命じられたのだ。7年以上にわたって続いていた高橋さんの契約も打ち切りとなった。

「それまでは特に何も言われることもなく更新してきたのに、契約打ち切りの話は結構急でした」と高橋さんは振り返る。

そんな中、高橋さんが選んだ職場は、小規模なWeb制作会社。「前職でWebコンテンツの更新をしていたから大丈夫だろう、という軽い気持ちで選んだのですが、かなり大変な職場でした。制作実務をここで一から学びました」

小さな会社だけに、一人で何でもこなさなければならない。Web制作という仕事は、HTMLだけを書いていればいいというものではない。クライアントや代理店の企画会議に参加し、コンセプトに基づいて構成案を練り、ワイヤーフレームを作成するのはもちろんのこと、制作のスケジュール設定と進行管理、Webサイトに掲載するインタビューの取材手配から、ブツ撮りのためのスタジオ予約や、そこで用意するお弁当や飲み物の手配まで……さらに、クライアントに対する細かな気遣いも求められる。徹夜も珍しくない激務が続いた。

「実は、私は仕切ることがあまり得意ではなかったんです。けれど他にやる人がいない以上、やらざるを得ません。非常にきつい仕事でしたが、今思うといい勉強になりました」

「派遣社員=事務の人」という思い込みが崩れる

こうした経験を経て高橋さんは次の仕事を探し始めた。その時に選んだのが派遣社員という働き方だった。

Web制作会社では正社員として働いていたので、次も正社員で就職したいと思っていた。しかし制作実務経験が実質1社、かつ短期間だったので、その時点のスキルでは無理だと分かっていた。「まずは派遣社員として大きな会社に入って、そこで働きながらスキルを身に付けていこうと考えました」。

実は高橋さんがそれまで想像していた派遣社員のイメージは、「事務の人」というものだったそうだ。「派遣社員とは、9時から5時までの決まった時間で、Excelで経費精算処理を行ったり、郵便物や書類を整理したりする人だと思っていました」

しかし、友人からWebに関連する派遣の仕事情報があると聞いた高橋さんは、派遣社員という選択肢に魅力を感じた。「派遣の仕事の中にWebに関連する業務があると聞いたときは、正直、驚きました。Web関連の業務であれば幅が広いので、もともと興味のあったイベントにも関われるのではないかと考えました」

最初に派遣社員として働き始めたのは2012年、大手放送局で番組Webサイトを更新する仕事だった。ここで再び取材やコンテンツ制作も含めたWebのディレクション業務に携わることになった。

この職場では、プロデューサーを除くほとんどのメンバーが派遣社員で構成されていたという。派遣でも「やりたい」と手を上げれば、取材や出張も任される風土があった。そんな中で高橋さんは、前の職場で鍛えられた「仕切り」のスキルを生かし、Web制作の経験を積んでいった。

「やらされていた」ではなく「やらせていただいた」に

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その後、手掛けていたコンテンツ制作が一区切りついたことを機に、契約を満了。リクルートスタッフィングからの派遣社員として今の職場で働き始めた高橋さん。職場も派遣会社も変えた背景には、当時の派遣会社に対して感じていた物足りなさもあったという。

「担当者が小まめに様子を聞いてくれるのはいいのですが、紹介してもらう仕事が、私の希望や意向を意識したものとはあまり思えませんでした。逆に、こちらが『この仕事に応募したい』と伝えても、理由を教えてもらえず、『もう埋まってしまった』とだけ返事が返ってくることが繰り返されました」

前職の放送局の職場にはリクルートスタッフィングの派遣スタッフが多かったため理由を聞いてみると、「リクルートスタッフィングは案件数が多く、ジャンルも幅広い。担当者の対応もいい」という答えが返ってきた。実際に登録してみると想像以上に案件数が多く、希望に合わせて仕事を「選ぶ」ことができたという。

現在の職場では、主に二つのWebサイトのディレクションを任せられ、コンテンツ制作やキャンペーン用ランディングページの準備、さらには実際のイベント運営にも関わるなど、Webに限らずプロモーション業務全般を支援するまでになっている。過去の仕事で「やらされている」と感じたこともあった取材の手配やスケジュール表の作成といった経験が、いろいろな場面で生きているという。「今思えば、身に付いたものがたくさんあります。どの仕事も『やらせていただいた』という感じです」

「点」を「線」につなげるためのスキルアップを派遣で実現

今の働き方は、かつて高橋さんが抱いていた「9時から5時まで」という派遣社員のイメージとは大きく異なっている。「業務の量には波があって、忙しいときは結構忙しいですね。イベントがあるときなどは土日も、正社員、派遣社員の区別もなく働いています。逆に、ちょっとは派遣社員であることを意識してほしいくらいです(笑)」。

やることをきちんとやっていれば、時間配分も自分で裁量できる。「Webディレクションという仕事の性質もあるでしょうけれど、結構自由にやっています。お昼の休憩をちょっと早めに切り上げて、担当しているクライアントの商品リサーチを行ったりもしますよ。クライアントから『よく調べてますね』と評価をいただくこともあります。派遣社員であることを意識しないで働けていますね」

こんなメリハリの利いた働き方は、高橋さんの性に合っているようだ。「稼ぐときに稼いで、遊ぶときには遊ぶ……確かに忙しいこともありますが、苦ではありません。やりたいことをするにはお金が必要ですから。それも、できれば嫌な仕事ではなく、やりがいのある仕事で稼ぎたいですよね」

いずれは、もともと好きなコンサートや舞台などの仕事に関わっていくという理想に向けて、Webやマーケティングに関するスキルや人脈を培っている高橋さん。当時はつらい出来事だったが、今の自分があるのは、契約社員の契約を予期せず打ち切られてしまった苦い経験があってこそかもしれないと振り返る。

「あの当時に今のように必死で学んでいたら、もっと違う場所にいたかもしれません。スキルを身に付ければ付けるほど、いろいろな仕事に関われるということに気付くのが遅かったのでしょうね。けれど、あのときWeb編集部が解散になって良かったともいえます。あのまま居心地の良い環境でスキルアップを意識せずに働き続けていたら、今ごろ大変なことになっていたでしょう。もちろん、今の仕事もいつか終了したいと思うときが来るかもしれませんが、それまでにスキルを上げて、次の仕事につなげていけるようにしたいと考えています」

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提供:株式会社リクルートスタッフィング
アイティメディア営業企画/制作:@IT自分戦略研究所 編集部/掲載内容有効期限:2015年9月30日