経済産業省よりITSS(ITスキル標準)が発表されて、1年半。ようやく本格普及が始まりつつある。それに伴い、「自分のスキルレベルはどのくらいなんだろう」と気になっているITエンジニアも多いのではないだろうか。そんな不安を解決する手段が「ITSSスキル診断テスト」である。しかし、このテスト、受けている人がまだ少ないため、情報があまり伝わってこない。そこでITSSスキル診断テストの概要を解説しよう。
職種は自分で選ぶ
スキル診断テストには、「ITアーキテクト」「ITスペシャリスト」「アプリケーションスペシャリスト」など11職種が用意されている。また各職種は、技術や知識別にいくつかの専門分野に分かれている。これらの職種・専門分野を選択することから、診断が始まる。
実は、この職種選択こそが、スキルレベルを正しく評価するための重要なポイントになる。ITエンジニアに関係の深い7つの職種について、簡単に説明しよう。
ITアーキテクト
システム設計や企画を行う上流SEよりもさらに上流ともいえる、経営とITとを結びつけ、その会社が持つビジネス上の課題を解決するためのアーキテクチャ設計を行う。情報化戦略企画(ソリューションの枠組みの策定や設計)と開発(コンポーネント設計の助言)が主な活動領域となる。ビジネス的な視点も必要になるため、最低でもレベル4(ミドルレベル)に相当するスキルと実務経験が必要となる職種。
〔専門分野〕
アプリケーション、データサービス、ネットワーク セキュリティ、システムマネジメント
ITスペシャリスト
いわゆるSI企業やソリューションベンダーの「SE」や「プログラマ」と呼ばれる職種が該当する。システムの設計から構築、導入及びテストを行う。開発(コンポーネントの分析や設計、ソリューションやシステムの構築)及び運用、保守までが主な活動領域となる。
〔専門分野〕
プラットフォーム、システム管理、データベース ネットワーク、分散コンピューティング、セキュリティ
アプリケーションスペシャリストスペシャリスト
業務パッケージの開発ベンダーや金融や流通など、業務特化型のSI企業で働いている、または業務を軸にスキルアップをしたいと考えているITエンジニアが該当する職種。特定業務あるいは業務の課題を解決するシステムの設計、構築、導入、テスト及び保守、または適用業務パッケージを活用したシステムの開発、導入(パッケージの適合性確認からカスタマイズ、機能追加)、保守、運用などが活動領域となる。
〔専門分野〕
業務システム、業務パッケージ
ソフトウェアデベロップメント
OSやパッケージソフト、ミドルウェアなどの開発に携わっているITエンジニアが該当する。ソフトウェア製品の企画から設計、プログラミング及びテストまでが活動領域。
〔専門分野〕
基本ソフト、ミドルソフト、応用ソフト
オペレーション
いわゆる運用・保守という業務を担当しているITエンジニアが該当する。システムやネットワークの運用、保守を行う。サービスレベルの管理や機器構成管理の実施、ヘルプデスク業務もこの職種に該当する。
〔専門分野〕
システムオペレーション、ネットワークオペレーション カスタマサポート
カスタマサービス
オンサイト(顧客先)でハードウェアの据付、ソフトウェアの導入やカスタマイズ、保守及び障害の修復、操作指導などを行う。サービスエンジニア、もしくはプリセールスエンジニアと呼ばれる職種に就いているITエンジニアが該当する。またITを利用する施設を建設する際のサポートを担当する人材も含まれる。オペレーションの「カスタマサポート」との違いは、オンサイトで行うところ。顧客先に密着した形で、サービスを提供する。
〔専門分野〕
ハードウェア、ソフトウェア、ファシリティマネジメント
プロジェクトマネジメント
プロジェクトの立ち上げ、計画策定、遂行、進捗管理を行い、かつでき上がったシステムやソリューションの責任までを担う。いわゆるプロジェクトマネジャー。業務の課題の整理や分析からソリューション設計、開発及び運用、保守まで、システム開発全体を統括する。
〔専門分野〕
システム開発/アプリケーション開発/システムインテグレーション
アウトソーシング、ネットワークサービス、eビジネスソリューション
ソフトウェア開発
この職種選択は、現在の仕事内容と照らし合わせて、合致するものを選びたい。その上で、自分が今、どの技術・業界知識により深く携わっているのか、また極めたいのかで、専門分野を選択することをお勧めする。
しかしこの職種選択は迷うところでもある。というのも、例えば専門分野が「ネットワーク」であれば、「ITスペシャリストのネットワーク」「ITアーキテクトのネットワーク」「オペレーションのネットワークオペレーション」という3つの選択肢があるように見えるからだ。
ではこれらはどう違うのか。「ITアーキテクトのネットワーク」はビジネス上の課題を解決するようなネットワークアーキテクチャーの設計に携わっている人、「ITスペシャリストのネットワーク」はLANやWANなどのネットワークの企画・設計を行っている人、「オペレーションのネットワークオペレーション」ネットワークの運用・保守を担当している人である。
この中で現在、自分が携わっている主な業務領域に最も近いものを選ぶことが重要だ。というのも、ITSSスキル診断は現在のスキルレベルを把握することが目的だからだ。
「現在はSEなのでITスペシャリストに該当するけれど、将来はより上流のITアーキテクトを目指している」という人もいるだろう。その場合は、「ITスペシャリスト」で診断を受けて現在のスキルレベルを知った上で、目指す職種=ITアーキテクトで求められているスキル項目をチェックし、達成できるような経験や知識を積み重ねていくことだ。それがITSSスキル診断テストの正しい使い方といえるのではないだろうか。
ITSSスキル診断テストの概要
次にテストの中身を簡単に紹介しよう。出題数は全職種共通のコアスキルに関する設問が72問、ビジネススキル・工程別スキル・共通テクニカルスキルが40 問、また職種ごとの専門テクニカルスキルが27〜44問、各職種の専門分野別の達成度に関するものが7〜11問という具合だ。「ITスペシャリストのネットワーク」を例にとって説明しよう。ITスペシャリストという職種共通で問われるスキルは、5つの技術的なスキルと3つのヒューマンスキル。
〔技術的なスキル〕
デザインスキル …モデリングテクニックやデザインメソドロジなど
テクニカルスキル…プラットフォーム技術や要素技術比較、システム運用などの知識
統合マネジメントスキル …プロジェクト計画策定や実施などの知識
品質マネジメントスキル
インダストリスペシャリティスキル
〔ヒューマンスキル〕
リーダーシップ
コミュニケーション
ネゴシエーション
これにプラスして、専門分野となるネットワーク構築に関する知識が問われる。これらのスキル項目における各レベルへの達成度は、責任性、複雑性、サイズ、タスク特性という4つの視点で判定される。 例えば「拠点数が多く、ネットワークの構造も複雑なプロジェクト」への参画経験について「メンバーとして参画した経験がある」「チームリーダーとして参画した経験がある」などの選択肢から、該当するものにチェックするわけだ。また専門知識のレベルが問われるタスク特性に関しては、「上位者のサポートがあればできる」「独力でできる」などの選択肢から、達成度が判定される。 下図は診断結果の例だ。このように、選んだ職種における現在のスキルレベルが一目でわかるようになっている。だが、この結果で終わりではない。この結果を元に、目指すキャリアを実現するために、どんな仕事に携わり、スキルを身に付けていくか、プランニングすることが大切なのである。
ID : S*#####2
氏名 : S.A
職種 : ITアーキテクト
専門分野 : ネットワーク
診断日付 : 2004/*/*
ITSS 準拠レベル評価
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※「★」はあなたのレベル位置です。
では、ITSSスキル診断がエンジニアにもたらす真のメリットとは何か、またどんなことがわかったのか、実際のエンジニアの実例を紹介しよう。
CASE1
Aさん(32歳)
ITアーキテクト
ネットワーク
CASE2
Bさん(30歳)
ITアーキテクト
ネットワーク
CASE3
Cさん(35歳)
ITスペシャリスト
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