未経験からのテクニカルサポート
Vol.2
NTTグループのヘルプデスクでリーダーとして活躍。 - 稲尾 久美子さん (30歳) 前職 図書館司書   ITの知識だけでなく、ふくよかに心が成長できる仕事だと思いますよ
パソコンとインターネットの普及で急速に人材へのニーズが高まっている「サポート業務」。毎日寄せられる多くの相談に応える「コミュニケーター」とはどのような仕事なのでしょう。 NTTグループのコールセンター運営会社で未経験者からコミュニケーターにトライし、現在スーパーバイザーとして人材の育成にもあたる稲尾久美子さんにお話を伺いました。

【プロフィール】
稲生久美子さん(30歳)
テレコミュニケーター
前職 図書館司書

四年制大学英米文化学科卒
図書館司書→アルバイト→リクルートスタッフィングの派遣社員に。
2002年3月〜 NTTグループ コールセンター運営会社に派遣。
コールセンターでサポート業務に。
03年7月〜 同スーパーバイザーを務める。
趣味/読書、映画鑑賞、ヨガほか、

 

●コミュニケーターとはどのような仕事なのでしょう。

新人コミュニケーターの1日業務内容はインターネットサービスプロバイダー(ISP)のフリーダイヤル窓口ですので、プロバイダー契約をなされているお客さまからさまざまなご質問やご相談が寄せられます。そのご相談に電話で対応して、解決へと導くのがコミュニケーターの仕事です。テクニカルサポートなど、さまざまな呼び方がありますが、私どもでは「コミュニケーター」と呼ばれています。

●どのような相談や質問が寄せられますか?

まず初心者の方でしたら設定の仕方や料金のことですね。プロバイダーでは数多くのキャンペーンや割引サービスが実施されていますので、どのような組み合わせ方をしたらいちばんトクなのか、といったお問い合わせも増えています。ヘビーユーザーの方ですと通信速度など技術的なご質問も寄せられますね。

●技術的な案件にも対応するのですか?

一般的には、サービスに関することと技術的なケースは担当を分けていることが多いと思いますが、それではお客さまをお待たせしたり、タライ回し状態になる恐れがあるので、ここでは電話を受けたコミュニケーターが一貫して担当しています。
もちろんどうしてもわからないときは、詳しいコミュニケーターに代わることもありますが基本的にはそのお客さまがご納得いただくまでひとりのコミュニケーターが最後までお応えします。

●電話で、しかも言葉だけで説明するのは大変ですね。

そうですね(笑)。顔が見えないだけに、言葉がすべてになります。最近はご年輩の方もパソコンをご利用なさるようになりましたし、こうした「超初心者」のお客さまには、パソコンやインターネットの専門用語がご理解いただけませんので、まるで和訳するように噛みくだいてお伝えするときもあります。
でも、最初に1カ月間の導入研修がありますので、基本的なスキルは未経験の方でも覚えることができます。私もこの研修の存在が派遣先を選んだポイントでした。現在では端末で実践に近い研修が行われていますので具体的に仕事を理解できます。

●それは私に聞かないで!、というようなご質問も?

ありますよ(笑)。メールの打ち方がわからないとか。それでも、「コントロールキーと一緒にひらがなの『と』のキーを押してください」みたいに丁寧にサポートします。本来はPCメーカーかソフト会社がサポートするべきことだと思うんですが、こちらにご相談された以上、お応えします。
当社のサポートが「コミュニケーター」と呼ばれているのは、こういったことをサービスの基本姿勢として主眼に置いているからなんです。

●コミュニケーターに求められる基本的なスキルってなんでしょう?

最初からすべてを身につけている人はひとりもいませんので、楽しみながら仕事をして学んでいくことだと思います。コミュニケーターにはさまざまなスキルを持った人が集まっています。インターネットに詳しい人、パソコンに詳しい人、あるいはウインドウズやMACに詳しい人。
でも、お客さまの中には、おっしゃっていることが聞き取れないような方言で質問なさるご年輩の方もいらっしゃいますし、そういう方にはやさしく丁寧に対応する「心遣い」というスキルのほうが大切です。ご自分のこれまでの日常体験を活かす、ということが大切なスキルとして求められるんだと思います。

●全国にお客さまがいらっしゃるんですね。年齢を問わず。

そうなんです。方言を聞いたあとでは、故郷のお母さん元気かなって、思い出したりとか(笑)。

●1日何件くらい、担当するんですか?

だいたい、20件くらいです。コミュニケーターには、実はふたつの相反する要素が求められます。ひとつは顧客満足。もうひとつは対応件数なんです。
いま、とにかくご相談が増え続けていますが、コミュニケーターも人間ですから、つい、1件の相談を早く終わらせたいと思うことも。でもいいかげんな対応をすると、そのお客さまからまた電話がかかってきてしまいますので、結局は自分がスキルアップして早く解決して差し上げるのがベストなのです。

●コミュニケーターで学べることって?

コミュニケーターに求められるのは「寛容さ」、「正直さ」、「お客さまの気持ちを大切にする」の3つです。テクニカルなスキルはそのあとですね。特に、慣れてくるとコミュニケーターに「おごり」か出てきます。それは私には聞かないで、とか(笑)。それと、教えてあげてる、と無意識にお客さまの上に立ってしまう。そういうときに目を配るのがスーパーバイザー(SV)の役割でもあるんですが。

●男性も増えているんですか?

多いですよ。半々くらいかもしれないですね。男性は論理的に思考して対応できる人が多いですし、技術知識の習得も早いのでコミュニケーターには向いていると思いますね。また、スタッフは総勢200名ほど在籍していますが、約半数はキャリア1年未満の新人です。

●稲尾さんのような方が相談相手にいるのも心強いですね。

コミュニケーターになって1年半でSVになったんですが、もともと私は高いスキルがあったわけではないと思ってます。ダメなオペレーターだと思ってたくらいで、SVにならないかと上司に言われた時、どうして?って思いました。ただ周囲への目配りが利くほうだったのが、選ばれた理由かもしれません。
それほど、コミュニケーターの仕事が、お客さまへの対応と満足を重視していることの現れなんですね。そんな適性のある方は、技術的な素養がなくてもSVにステップアップしていくことができる職場と言えます。

●コミュニケーターの仕事のいちばんのやりがいはなんですか?

そもそも、電話でコミュニケーションする、という仕事に興味があってまったく経験のないこの仕事にトライしたのですが、お客さまから「ありがとう」って喜んでいただいたときは、ほんとにうれしいですね。ああ、よかったなぁって。毎日、年齢や性別や住んでいる地域も違う初対面の方々とたいへん数多くの出会いをして、いつのまにか、自分が人間的に成長できた気がします。
私がよく上司に言われたのは「好きこそものの上手なれ」です。人と話したり、相談に乗ったり、困っていることを解決してあげたり、ということが好きなら、きっといいコミュニケーターになれると思いますよ。心を成長させることのできる仕事だと思います。