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増井敏克の「情報のキャッチアップが足りない」ときに読むコラム

第2回 書店や勉強会などリアルな場を活用しよう

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エンジニアにとって、大切だけどなかなか教えてもらえない、情報をキャッチアップする技術。前回、ITSTAFFINGのイベントでおなじみの増井敏克さんに、インターネットを活用した情報収集法についてレクチャーいただきました。インターネットで済ましがちですが、情報収集においてやはり侮れないのは、書店や勉強会などリアルな場。足を運んでいるものの、いまひとつ活用できていない方や、書籍の選び方がわからない方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

【講 師】増井 敏克さん
【講 師】増井 敏克
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピュータを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発、データ分析などを行う。著書に『おうちで学べるセキュリティのきほん』『プログラマ脳を鍛える数学パズル』『エンジニアが生き残るためのテクノロジーの授業』『もっとプログラマ脳を鍛える数学パズル』『図解まるわかりセキュリティのしくみ』(以上、翔泳社)、『シゴトに役立つデータ分析・統計のトリセツ』『プログラミング言語図鑑』『プログラマのためのディープラーニングのしくみがわかる数学入門』(以上、ソシム)がある。
 

▼第1回のコラムをまだ読まれていない方はこちら
http://www.itstaffing.jp/engineer/entry/20181116_1

情報収集のスタンダードである「書籍」を書店で見る

新しい技術を学ぶとき、最近ではインターネットで調べることも少なくありませんが、体系的に学ぶときには、書籍は有効なメディアです。個人が書いたブログ記事などと比べ、編集者が入っていることで正確さや読みやすさが格段に違います。

最近では電子書籍も増えていますが、その量を考えるとまだまだ紙の書籍を使う人が多いでしょう。ただ、街の書店ではなくオンライン書店での購入が増えているのは少し残念な部分もあります。ここでは、書店でコンピュータ書を選ぶことで得られるメリットについて考えてみましょう。

前提として、「コンピュータ書」には様々な種類があります。WindowsやWord、Excelなどの使い方を解説した一般向けの本から、プログラミングやネットワーク、データベースといったエンジニア向けの本、Webデザインや画像の加工といったクリエイター向けの本、各種資格試験を受ける人のための対策本など様々です。

これらの本は書店の中で棚を分けて販売されていることが一般的で、例えば、セキュリティについて知りたい場合は、一般の人が読むウイルス対策などの本と、エンジニアが読むセキュリティの本、セキュリティに関する資格についての本はそれぞれ別の棚にあります。

実際に書店に行くと、周囲にある本を手に取ることで新たな発見がある場合もあるでしょう。もちろんオンライン書店でも、興味を持った本以外にもオススメされる場合がありますが、書店ではまったく異なるジャンルの本が目に入ることがあり、情報収集の視野が広がることが期待できます。

書店によって並ぶ本は大きく違う

小説や新書であれば、住んでいる場所の近くの書店に同じような本があっても、専門書となると地元の書店では売っていないものです。ただ、専門書だからといって、とりあえず大きな書店に行こうと考えるのは早計です。

書店は、その周囲の環境によって訪れる客層が異なるため、置かれている本も異なります。例えば、住宅街にある書店では一般向けの本が多く並ぶのに対し、ビジネス街にある書店では中級者向けやエンジニア向けの本が多く並びます。大学などにある書店では、資格に関する本や専門書が多く並びます。

つまり、一箇所の書店を見るだけでは、欲しい本を見つけられなくても、ほかの書店を巡ってみると、新たな発見があるかもしれません。これは書店に限った話ではありません。

先日開催された「技術書典5」では同人誌を頒布しているサークルが470を超え、参加者数は1万人を突破しました。このように、一般の書店だけを見るのではなく、イベントや電子書籍にも注目が必要です。同人誌が電子化するケースも増えており、誰でも出版できるようになりつつあるため、電子書籍も目を離せません。

書籍を選ぶ

書店で書籍を選ぶとき、私は大きく分けて3種類の本を手に取るようにしています。まず、新たに学ぶ技術については入門書を読みます。タイトルに「はじめての」や「入門」などが付いている本が多く、図が多い本だとイメージしやすいでしょう。

ある程度知識が付いた段階では、詳しい内容まで書かれた本を読みます。ページ数も多く、高価な本が多いものの、細かな部分まで漏れなく書かれているため、常に手元に置いておきたい本です。

さらに、実務的な観点では「逆引き」と呼ばれる本も読みます。逆引き本は、やりたいことを実現する方法が書かれているため、作りたい機能など目的がはっきりしている場合にオススメです。例えば、PHPをこれから学ぶなら、以下のようなラインナップになるかもしれません。

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書店での売り方に注目する方法もあります。例えば、書店では平積みされている本や表紙が見えるように陳列されている本があります。新刊や長く売れているベストセラーの本が多く、これらを参考にするのも良いでしょう。

書店で本を見るときは、まず「はじめに」を読んでみたいところです。作者がその本を書こうと思った背景や想定している読者層、その本の構成などが書かれています。また、目次には目を通し、読みたい内容が書かれているか確認します。

欲しい本が売れているかどうかは、本の最後のページにある「発売日」や「刷り数」を見ます。ITに関する本は古いと役に立たない場合があるため、発売日は重要です。また、刷り数を見ると、その本が売れているかどうか知る基準にもなります。もちろん、オンライン書店のランキングを見るのも一つの方法でしょう。

新刊情報を得るには、配信してくれるサービスを使用する方法もあります。タイトルや著者、出版社やキーワードを登録しておくと、該当する新刊が発売されるときにメールで通知してくれます。

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個人的には、書店で書店員さんと仲良くなる方法がオススメです。何度も書店に足を運んで、好きな本などについて話していると、訪問するたびにこちらの興味がありそうな新刊などを教えてもらえる場合があります。

勉強会を活用する

一人で勉強していると、わからないことがあるとそのままになってしまう場合がありますが、勉強会に参加すると、その疑問を解消できる場合があります。勉強会の情報はATNDなど、各種勉強会情報のサイトを使うことで収集できます。

このとき、自分から探さなくてもいいように、新しいイベントがあると自動的に通知されるようにRSSを使って情報を受信するなどの環境をつくることが大切です(詳しくは前回のコラムをご覧ください)。

また、イベントに参加するときには、単純に受講者として参加するだけでなく、LTなどがあれば発表することをオススメします。情報を発信すると、その後の懇親会などでも話題が豊富になり、多くの情報が集まることがあります。このように、情報は発信する人に集まる傾向があります。発信しないと、その人がどのような技術に興味があるのかわからないため、なかなか情報が集まらないものです。

勉強会は発信者からの情報を聞きにいくだけでなく、自分から聞きたいことを持って行くのも一つの方法です。勉強会の中には参加者が自由に質問できる環境や、もくもく会のようにそれぞれが学びたい内容を持ち込んで勉強する場もあります。

リアルな場を使った情報収集法、いかがでしょうか。インターネット上の情報を収集するだけでなく、書店や勉強会などリアルの場を活用することで、さらに情報に幅がでてきます。日々進歩する技術を上手にキャッチアップし、エンジニアとしてのキャリアを積むために、情報収集法をたまに見直してみるのもいいでしょう。

日々情報をキャッチアップしても、イマイチ理解できないこと、皆さんが疑問に思うことって、出てくるかもしれません。本コラムでは、自分だけではキャッチアップできないテーマを、増井さんがレクチャーします。次回は、最近よく聞くAIについて。人間の仕事がなくなると言われているけれど、本当なのでしょうか。AIにできること、できないことを解説します。どうぞ、お楽しみに。