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【連載】第1回 派遣エンジニアとして働くために知るべき「スキル」を理解するコラム

昨年5月に開催し大好評につき、その後も定期的に開催するまでになった「自分の能力を上手に相手に伝える方法を学ぶセミナー」。この内容を参加者からのアンケートをもとにさらにパワーアップをし、全3回のコラムとして皆さんにお届けすることになりました。

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高橋 裕之
ウイングアーク1st株式会社 技術本部 SVFパッケージ統括部 ソフトウェアエンジニアリング部 部長、ソフトウェアプロセス改善コーチ。ITエンジニアとして10社を超える現場、いくつものプロジェクトに参画。次第にIT業界の影に潜むプロセス、マネジメント、人間系の問題に気付いてしまい、日々その解決のため戦っている。派生開発推進協議会(AFFORDD)役員。認定スクラムマスター(CSM)、認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。

第1回 混合されがちな業務知識とハードスキルの違いを知ろう

<今回のポイント>

・業務知識とは「自習可能なハードスキル + 組織固有ハードスキル」の組み合わせを指します。

業務知識とは
(1)自習可能ハードスキル

▼内 容(例)
・PHPやJavaといったプログラム言語 ・ツールとパッケージソフトの製品知識 ・ISOや法律
▼特 徴
・パブリックな知識体系 ・誰もが教科書やマニュアル ・インターネットで習得可能
(2)組織固有ハードスキル
▼内 容(例)
・仕事の流れ(ワークフロー) ・商習慣(業界ルール) ・業務遂行に関わる人や部門(ステークホルダー)
▼特 徴
・クローズドな知識体系 ・社内マニュアルや属人的な場合 ・組織(業界)で働きながら習得

・「組織固有ハードスキル」は企業で働きながらでしか習得することができませんので「来てから覚えてもらえば良い」と採用側は考えています。

お仕事を探す側も採用をする側も共通の「判断要素」として「スキル」を利用しています。これまでのセミナーでは、そのスキルとは3種類に分けて考えられると話をしてきました。

1.ハードスキル:PHPやJavaといった「プログラミング言語」や、アルゴリズムやオブジェクト設計などの「理論や手法」、EclipseやXcode、Gitなどの「ツール」、それ以外の体系だった知識。

2.ソフトスキル:コミュニケーション能力や調整力といった自己及び対人関係に関する能力で、ヒューマンスキルとも呼ばれる。

3.メタスキル:問題発見力やチームワーク力、プロセス改善能力など、スキルを使いこなす応用スキル。

▼詳しくは過去のイベントレポートにて
http://www.itstaffing.jp/engineer/entry/20160726_1

ところで、求人票を通してITエンジニアによく求められる要素に「業務知識」というものがあります。「この仕事をする上では業務知識が必要」「これからもっと上流の仕事をしたいので業務知識を身に着けたい」といった文脈で語られることが多いですが、果たして業務知識とは何なのでしょうか?採用において必須の要素なのでしょうか?スキルのひとつ「ハードスキル」と「業務知識」の考え方を説明しながら業務知識を攻略してみたいと思います。

● ハードスキルとは
一言でいうと“形式知能力”です。上記でも書いていますが、PHPやJavaといった言語や、理論や手法、ツールなど体系だった知識のことで、学習によって身につきます。またハードスキルは定量化、表現しやすいので、自分の習得レベルを表現しやすいといえます。
そして重要なポイントとして、自習が可能でどの組織(会社)に行っても通じるスキルだということです。

● 業務知識とは
業務知識とは、特定分野における仕事(業務内容)を実行するために必要な知識です。
この場合の知識とは、

(1)「専門用語」や「法律」、特定のパッケージソフトに関する「製品知識」
(2)「仕事の流れ」や「商習慣」、業務に関わる「人や部門(ステークホルダー)」

などこれら双方の業務に関する広範囲な知識を指します。お気付きだと思いますが(1)はまさしくハードスキルと呼べるものです。これらは知識の体系化が進んでおり、誰もが自習をすることでスキル習得が可能です。また、(2)も業界のデファクト(標準)が存在し、大抵のことは組織(会社)毎に特徴や独特の体系化されたルールなどがあるので、これもハードスキルと呼んで良いでしょう。厄介なのは、体系化させているからといってきちんと可視化(ドキュメント化)されているとは限らない点です。場合によっては口伝だったりします。基本的に自習では身に付かず、実際に「その業界」の業務に携わり、経験しながらでしか身に付きません。しかし、この「組織固有ハードスキル」を理解している方が「即戦力」と判断されやすいです。

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ハードスキルと業務知識の違いを求人票から考えてみる

このように業務知識はハードスキルと言えますが「自習可能」と「組織固有」を合わせたハードスキル全般を指していることが多いです。そして、実際の求人票では「業務知識」という言葉がはっきりと現れることが多いですが、「業務知識」という言葉が現れていなくともハードスキルを指していることも多いです。これらの点を求人票のサンプルで読み取ってみましょう。

■業務内容
・弊社主力製品「XYZ ポスレジ for タブレット」や、発売している製品および今後開発予定の様々なプロダクトに関する立案、推進および開発を行います。
・関連開発会社との連携による製品カスタマイズプロジェクト推進などの関連開発も行います。

■希望スキル
・システム要件の取り纏め、設計・開発スキル(必須)
・プロジェクト推進するリーダシップ能力と、状況に合わせため調整能力(必須)※メンバーとのコミュニケーション能力なども含みます。
・Web、サーバシステム開発上に必要な技術(PHP、Ajax、WebService、J2EE(DI))(尚可)
・DB(データベース)関連の知識(尚可)
・Java、C#、Object-C などオブジェクト指向言語による開発経験(必須)
・POSレジシステムやクレジット決済の業務知識(尚可)

※以前、当社が使用した求人票をベースに作成しています

例えばプログラミング言語は自習可能ハードスキルに分類されます。上記求人票の場合、自分の得意な言語はPHPだったとしたら求人票にPHPを求める記載がありますので即戦力として歓迎される可能性があります。

ですがもし、あなたがPHPでクレジット決済を含むWebアプリの開発経験があったとしたら、PHPは自習可能ハードスキルですが、クレジット決済知識は組織固有ハードスキルです。言語がただわかるだけでなく、業務に沿った開発も経験しているので、超即戦力とアピールすることが出来るでしょう。

もうおわかりかと思いますが、業務知識とは「自習可能なハードスキル」と「組織固有ハードスキル」のハイブリッド知識を指しています。業務知識は採用される際の必須スキルとして指定されることが多いので、組織固有ハードスキルとしての業務知識を身に付けているのであれば活躍できるでしょう。

ですが心配する必要はありません。組織固有ハードスキルは企業内で業務に携わり、経験しながらでしか身に付きませんので、採用する側も「入社してから勉強してもらえば良い」と考え、採用する側も応募してもらえないリスクを回避するために必須条件にはしないことが多いです。

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派遣スタッフが一番活躍できる「即戦力」というポジション

ところで、採用側はどんな派遣エンジニア像を求めているのでしょう。それは「今、すごく困っていることを解決してくれる」人材。つまり即戦力としての人材です。
スキルを磨きつつ、即戦力だと感じてもらうためには、業務知識を各派遣先の仕事で着実に自分のものにして経験とする必要があるようです。特に「組織固有ハードスキル」が採用側の募集要項とピッタリ会った場合、「即戦力」とすぐに判断されるでしょう。

また、即戦力だと感じてもらうにはもうひとつポイントがあります。当たり前のように思われるかもしれませんが、何事に対しても積極的に取り組むことが大切です。どんなにスキルがあっても、「私はここまで」という壁を作っている人にチャンスは訪れません。
「○○さん、これできる?」と言われるかどうかは、普段から難しい業務にも挑戦する姿勢や、新しい知識を習得する姿勢が、伝わっているかによります。現場でのチャンスを活かしながら積極的に業務知識を身に付けて頂ければと思います。

この先は、もうひとつのソフトスキルについての話になります。どうぞお楽しみに。