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【連載】田中淳子の「人と話すのが苦手だ」と思ったら読むコラム

第1回 察する力ってなんだろう

ビジネスの現場ではコミュニケーション能力と称して、人と話す力や聴く力、説明する力など、様々な対人力が求められていますが、「人と接するのが得意だ」と胸を張れる人は、それほど多くないでしょう。そこで、以前開催したセミナーが好評だった、人材教育コンサルタント/産業カウンセラーの田中淳子さんの対人力養成講座を定期的に掲載することにいたしました。「すぐに使えるコミュニケーション力」を身に着けるための講義をお届けします。

大好評だった田中さんのセミナーはこちら

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【講 師】
人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント 田中淳子

コンピュータメーカー勤務を経て、1996年よりグローバルナレッジネットワークで、ITエンジニア向けヒューマンスキル研修プログラムを開発、実施。著書に『ITエンジニアとして生き残るための「対人力」の高め方』『現場で実践!若手を育てる47のテクニック』など多数。

人材育成の仕事にかれこれ30年間携わっている。年間約120日の研修で主に接するのはITエンジニアの皆さんだ。私が担当しているのは、対人コミュニケーションに関わる領域。ヒアリング、プレゼンテーション、ドキュメンテーション、ネゴシエーション、ファシリテーション、コーチング、仕事の教え方など多岐に渡る。いずれも人と人とのやり取り、つまり「対人力」に関するもので、それぞれにスキルがある。

現在、このコラムを読むあなたは、一体どれだけのスキルをお持ちだろうか。少ししかない、あるいは全くない、という人もいるだろう。

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コミュニケーション・スキルは学習できる

初めに大事なメッセージを伝えておきたい。コミュニケーション・スキルは学習できる。

「人と上手にコミュニケーションするなんて、性格上無理!」と思う必要はない。性格と考えると「できる、できない」と考えてしまうだろうが、スキルであれば、「使う、使わない」の話になる。性格を変えなくても、スキルを使って、今までとちょっと違う行動を取ればいいだけの話だ。もちろん、行動を変えることも多少難しい。慣れたやり方を変えるのだから、心理的な抵抗はあるかも知れない。

けれど、性格を変えようと思うよりは、行動を変えるほうがうんと楽ではないだろうか。「こうしたほうが他者とうまくいきそうだ」と思うスキルがあれば、「使ってみる」。ただそれだけのことだ。

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成果の質を高める「察する力」

いざコミュニケーションをしようとしても、なかなか上手くいかない。その原因は、コミュニケーションがそもそも相互関係で成り立つものだからだ。上手くいかない時は、自分の側にも何か課題はあるはずだ。自分のコミュニケーションの取り方を少し工夫してみるとよい。

上手に他者とコミュニケーションをするためには、聴くにしても話すにしても「察する力」が大事である。「察する力」は、「想像力」と「観察力」で成り立つ。相手がどう思うだろう、どう感じるだろうと事前に想像することと、目の前の相手と会話する中で相手の反応をよく観察すること。その上で、聴くスキル、伝えるスキルを使ってみる。

相手の話をよく聴き、深く正しく理解する。自分の話をできるだけ深く正しく相手に理解してもらう。互いに誤解やゆがみの少ないコミュニケーションをする。そうすれば聴き直しや言い直しや誤解を解くためのコミュニケーションに費やす時間が減るので効率よく仕事ができるようになるし、必然的に成果の質も高くなる。

このコラムでは、今後、「察する力」を根底に置き、どうやって他者と上手にコミュニケーションしていくかを具体的な事例と共に「スキル」を解説していく。

たいていの項目は「当たり前」と思うかも知れないが「知っている」ことと「できている」ことは必ずしも一緒ではない。ご自分が実践できているか、普段のコミュニケーションを振り返りながら読み進めていただければ幸いである。

(編集後記)

コミュニケーションに齟齬が起きた際、ついつい相手のせいにしてしまいがちですが、このように自身の行動を振り返ってみると、意外と改善できる点が多いことに気付かされます。次回は、「聴くスキル」について、行動を変えるとどんな変化が起こるのかを具体例を交えて解説します。どうぞお楽しみに。