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【本音座談会】派遣エンジニアのキャリアデザインって、どう形成すべき?

派遣社員がキャリアデザインを考えるとき、正社員との違いは何か、キャリアを積むために積極的に動くべきなのか。ITスタッフィングで派遣スタッフとして働いている3名の方にお集まりいただき、キャリアデザインに関するスタンスや日常業務、派遣エンジニアだからこそ意識すべきポイントなどを語っていただきました。

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やりたい仕事があったら、自らチャレンジしたいと手を上げる

──まずは、皆さんの自己紹介からお願いします。

 今は大手の地図データを提供している会社にて、プロジェクトマネジメントをやっています。最初はプログラマで入ったんですけど、再度契約をし直して、プロジェクトをマネージメントする業務で働いています。もともと前職でマネージメントをやっていたので、そこも期待されていたみたいです。

f:id:pinq4387:20160317152809j:plain▲岡さん:正社員で10年以上PHP、C、Javaでの開発を行い、2014年よりリクルートスタッフィングから派遣で就業開始。もともと正社員退職した動機は、将来業務委託で仕事をしたくスキルアップをするため。

田中 2月からNYKBusinessSystemsでお世話になっています。全国にある日本郵船のグループ会社の各拠点に対して、ソフトウェアを導入するプロジェクトに参画しておりますが、そこのプロジェクトをマネージメントする業務で入っています。新しいクラウドサービスの展開としてワークスタイル改善に取り組むつもりです。ネットワーク基盤寄りのチームなので、これまでのインフラやネットワーク基盤の経験が活かせるなと。まあ、レイヤーはどんどん上がっているんですけど(笑)。

f:id:pinq4387:20160317152122j:plain▲田中さん:事務職からテクニカルサポートにキャリアチェンジし、大手キャリア系企業でマネージメントの立場まで任されるようになる。仕事と通学を両立し、PMP、ITILやドットコムマスター、MS系の資格を次々に取得。一時は派遣で時給6,500円になったことも。

谷川 今は、大手ネットサービス会社のプログラマとして派遣されています。3年働いていて、今、4年目ってとこですね。ゲームというよりは、どちらかというとバックオフィス系。今は会計システムのプログラミングを担当しています。

f:id:pinq4387:20160317151300j:plain▲谷川さん:正社員でOAインストラクタとして2年勤務した後、リクルートスタッフィングで15年以上派遣として開発を中心に担当。現在はPHP/Perl、JavaScriptでの開発を中心に行っている。「スキルは実務で磨く物」が持論。

──ご自身のキャリアデザインって、どんなふうに考えていますか?

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キャリアデザインって、真剣に考えている人と考えていない人が、はっきり分かれる気がします。考えている人は、必要なことをどんどん学んでいると思うんですけどね。僕はもともとプログラマだったんですけど、そのままずっと続けていると給料はそのままのケースが多いじゃないですか。なので、そこから抜け出したいという思いがありました。上流工程に食い込むためには、どうすればいいのかというのを考えて、上流をやれるような状況を作って、とにかく学ぶ。書籍で学んで、現場で実践していくというかんじで。
とはいえ、現場経験がないとアサインされないので、興味がある仕事は上の人にこれをやらせてほしいと相談して、仕事をいただいていました。それからは、どんどん仕事を頼まれるようになって、もともとはプログラマで入ったけど、リーダーの仕事も任されるようになりました(笑)。場合によっては他のチームの仕事も受けていましたね。ただ全部抱え込んじゃうと仕事が回らないので、なるべくチーム内で回していました。

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私もそんなかんじでした。自分の年代がこれから上がっていくのに、コマンド打っているだけではやっていけない。キャリアのレイヤーを上げるために、上流工程の人たちに米つきバッタのごとくひっついて、仕事を覚えては任せてもらうといった感じでしたね。

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そうそう。自分が目指す役割に対して、先に向かっている人を見つけて、そこに食い込んでいくという感じ。

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現場には必ずキーマンみたいな人や、プロパーがついていたりするので、その人たちのやり取りを見ていたり、もちろん自分でそこに入り込んでいったりとか。

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どの職場にも、仕事が回らなくて大変そうだなという状況が必ずあるんですよ。その仕事をやらせてもらう。その上で、ちゃんとできるというのを認めてもらって、次の仕事も回してもらっていました。

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業界によっても違いますね。開発系は世代的に往々にして若いので、そこにいきなり世代が上の人が飛び込んできたりすると、ギャップもあるし、若い人が、上の人に教えにくいじゃないですか。こっちも聞きづらい。要するに、技術だけではなくてコミュニケーションスキルをつけることも重要な気がします。

旬の技術トレンドを掴む。仕事は断らない

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一方で、5年、10年先のキャリアデザインを考えていない人たちもいると思います。エンジニアのワークスタイルとして。例えば、僕は35歳ですが、45歳になったときに、何ができているか。そこでプログラムしかできませんでは通用しないと少なくとも僕は考えてます。45歳になったら、もうマネジメント管理もできて当たり前だという雰囲気になっていることもあると思うんですよね。
でも、誰も言ってくれないから、全然気づかない人もいるし、そこ気づく人もいる。結局、自分の商品価値を自分で理解して、キャリアアップしていかないと先がしんどくなる。

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私は、キャリアデザインを意識して上流工程に上がるために、何かやるということを全然していません(笑)。逆にずっとプログラマとして、プログラミングし続けていたいから、そのための努力をしている。例えばWeb系だったら、技術のトレンドに乗るということ。新しい技術は進んでキャッチアップすることで、現場でも重宝されるし、自分も作っていて楽しい。

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でも、自分でキャッチアップすることと、実際に仕事がアサインされてくることって、違ったりしません?自分で新しい言語をチャレンジしたいと思っても言いにくいとか。

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そのときどきの流れに乗っていれば、だいたい大丈夫ですね。今、PHPやりたいと言えば、PHPの仕事はたぶんくるし、Rubyをやりたいと言えば、Rubyの仕事はくる。あとは頼まれたことは基本的に断らない。だいたい「できます」「やります」って答えています。
「新しいことやりたい」というのは常日頃言うようにしていますね。といっても、「Rubyの勉強会とか行って勉強してます」みたいなアピールはしていなくて。例えば、僕はPHPのスキルを買われてアサインされたんですが、今やっている仕事で多いのは、RubyとJavascriptだったりします。何か新しいこと回しても大丈夫、みたいな雰囲気を作っとく。器用にこなすのも大事ですよね。何となくやっていても、失敗しないというかんじ。あと、適時相談は入れておく。頼まれた仕事はなるべく断らないこと。

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同じエンジニアでも全然やれることが違うので、やっぱりクライアントの要望を守るというのは重要ですね。「人」ではなく、仕事範囲として、複数の業務を同時進行的に行う仕事なのか、特化した業務を集中的に行う仕事なのか、だけでもかなり違うと思います。職制や職域によって、次のステージまで登っていく将来のイメージだとか、どこでずっと働き続けたいのかによって、自分のキャリアデザインって変わってくる。自分が学んでいく部分が変わってくるってことですね。

派遣エンジニアとしてのキャリアデザインはどう作る?

──派遣は正社員と違って、キャリアデザインのマニュアルやロールモデルになる先輩があまり身近にいないと思うのですが、皆さんはエンジニアとして、どういうキャリアを積み重ねてきたのでしょう。

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僕は30代、40代、50代の人たちが、それぞれどんな仕事をしているのかを見ています。40代でプログラム書いている人いますか、50代になったら何していますとか。で、自分はこのままじゃいけないって思ったんですね。じゃあ、自分が目指すキャリアになるにはどういうことをしなければいけないか、というのはいつも考えます。
だから、年代別にどういうスキルを持っている人が多いのか、といった客観的な指標を提示してくれるとありがたいかも。今あなたはここのスキルにいて、10年後、20年後の目指すスキルを考えた時に、ここを強化しておかないと、希望のお仕事の紹介がちょっと難しくなるかもしれません。営業担当者がそれを紙にアウトプットして、説明してくれたりすると結構、いいのかなと。保険の設計書的な感覚で、自分の希望する将来像から逆算して年齢に応じたキャリア設計書を作ってくれたら面白いですね。

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そういうの、意外とありそうで、ないですものね。自分のおかれている立場などでも、変わってきますよね。私なんかは子育てに必要な収入がほしかったので、なるべく時給が高くて、レイヤーの高い仕事を探していましたけど、1人だったらそんなこと考えていなかったかもしれない。

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でも、たぶん危機感を持っていない人が多いと思うんですよ。今、食えているから大丈夫じゃんみたいな。今、仕事もいっぱいあるしとか。

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キャリアのAプラン、Bプランみたいな感じですよね。自分もプログラマとしてずっとやっていきたいと思っていますが、わかんないですよね、将来なんて。結局そういう先輩とかがいるわけじゃないので。昔は35歳定年説とかって言われていましたが、もう41歳まできているので、あと4年ぐらいはできるんじゃないかって思っています。リクルートで現在、エンジニアとして就業している最年長の派遣スタッフが65歳くらいの方と聞いたので、70歳ぐらいまで派遣されるってありですか(笑)?

──はい、60歳で、PHP経験1年という人のアサイン実績があります。

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えっ、それはすごい!でも私たちの先輩といえば、それこそメインフレームを作った人たちですが、今まさにそのメインフレームをもう変えなきゃいけなくなっていますしね。需要高そう。もう老朽化して、結局COBOLを知っている人じゃないと、また組み立てられないという話もよく聞きます。

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それもやっぱり世の中をキャッチアップしながら、自分のバリューをどうやって出していくのかみたいなことが、すごく重要だっていうことですよね。

キャリアを伸ばせる人、伸ばせない人の境界線

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時代がどんどん変わってくるから、難しい面はありますね。だから、営業担当者とかに教えてもらった未来が当たるとは限らないですし。

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自分がどうなりたいかというエンジニアのキャリア相関図みたいなものや、どの位置に、どのスキルが足りていて、どのスキルが足りていないかみたいなこととかを話し合いながら、棚卸しするというのは価値があるかもしれないですね。

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そもそも、「俺、何したらいいんだろう」と思っている人のほうが、もしかしたら多いんじゃないかなっていう気はします。

派遣スタッフ同士で交流したり、スキルアップできる勉強会

──ITスタッフィングでは派遣スタッフ向けに、Ruby on Railsが2時間で体験できるとか、株式会社ディー・エヌ・エーのようなクライアント企業とマークアップエンジニア向け勉強会とか開催しているのですが、自分の時間がないとそういったサポートコンテンツに参加するのも大変そうですね。

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そこに集まって、ほかの同じような派遣スタッフと話をしたりするのは、結構いいんじゃないですかね。価値観を共有できるし。1人で派遣されて1人でいることが多いから、1人の価値観になって、基準がよくわからない。ほかの人はこんなことをやっていていいな、みたいな危機感を持ったり、逆に大丈夫だなと思ったりするんじゃないですかね。

 

──なるほど。例えば派遣エンジニアサロンみたいなのを作って、派遣エンジニア最適キャリアプランとか、キャリアデザインのコツみたいなLT大会をするのはいかがでしょう。

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最初は集まらないとは思いますけど、繰り返し開催してれば口コミで参加者が増えるかと。

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チラシやメールでの告知だと、あんまり見ないんですよね。日々の業務で忙しいので。だから、それこそ毎月のタイムシートを受け取りにいくときでもいいので、営業担当者や、コーディネータの方からがちょっと一声、こういうのをやろうと思うんですけどどうですかって。ただお知らせを渡されるより、キャリアや仕事のヒアリングの話をしたときに、派遣エンジニアの先輩が話をしますと聞いたら興味がわくと思うんです。

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ITスタッフィングと派遣スタッフの距離感を埋めるためにも、密にコミュニケーションとって、キャリアをデザインしていく。距離感が遠いほうが好きな人が多いかもしれませんが、そこはもう、強引につめちゃえばいいと。派遣という契約形態から考えたときに、そのドライであるということを是としつつも、ある種の人とのつながりとか、関係性みたいなことを、もう少し密にしたほうがいいことがあります。

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派遣スタッフ同士で集まることもありますね。仕事と関係ない人生相談や子育て論を話したりしています(笑)。

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Slackとか、チャットで気軽にやりとりというのもいいかも。

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掲示板で、「こういうことを仕事でやるんですが、やったことある人、ちょっと教えてくれませんか」とか、「こういうのを勉強会みたいな感じで開催しませんか」というように募集し合って、場所を提供してあげるというのもありかもですね。今の業務に必要な人を集めた勉強会だったら、必要に差し迫っているし、行かなきゃと思うかと。

 

──今後は、そうした派遣スタッフの方同士が情報共有を図れるような場や、キャリアアップに役立つ勉強会を企画していきたいと思います。
今日は本当にありがとうございました!

文=馬場 美由紀  写真=設楽 政浩